『かっぱ』/ドテ子

 昔、おらほの山がらも鉄が採れるっつので鉱山の開発が進んだのす。そすたら飲み水さ何がよぐねえもの混ざったようで、その辺りさ奇形が産まれるようになったど。頭ばおっきくて、まなぐ(眼)ばつり上がってでぎょろっとすて、手ど足の指ば薄こい皮でくっついで、体ば透ぎ通るように血管が見えでやんした。何処の家でも奇形ば産まれっと人目も悪いし、何よりもその姿をおっかながって(怖がって)夜にこそっと川に流したど。その辺りの大人達だばみんなわがってだんだども、下の方まで流されでったり、ガギ(子供)めらに見つかったりするど川赤子が出だって騒がれでだったす。そんでも、もぞこい(可哀想)ど思った嫁こばいで、なげられない(捨てられない)で隠しておがして(育てて)たんだど。言葉もわがらねす、すかげ(姿)はおがる(育つ)につれでまなぐど頭ばり(だけ)おっきぐなってって化げ物のようでやんした。ほんだがら、昼間は納屋さ隠して、夕方になると出してやってだのす。夕方になって出でくっと、がぎめらの声こば聞こえっと外さ出でって遊ぶべってそいづらの手っこば引っ張ったんだど。ほんだけんとも、そのすかげだがらガギめらもおっかながって逃げられったんだど。
 長ぐは生ぎられながったげんとも、年頃までは生ぎだんだなす。嫁こば年頃のおなごば騙すてそいづの子をなさせだ(産ませた)んだど。ほんだけんとも、生まれできたのも奇形で、そのおなごば頭おがすぐなって川さ入って死んですまったど。
 今でも若いおなごばいなぐなるど、連れでがれだんだって言われでやんす。

 おらのように。