2010-09-11から1日間の記事一覧

お詫びと訂正

剣先あやめさまの『終わらぬ宴』の表示不具合を修正いたしました。 http://d.hatena.ne.jp/michikwai/20100909/1283985502穂積たぎさまの『アキとハル』の表示不具合を修正いたしました。 http://d.hatena.ne.jp/michikwai/20100910/1284072254葦原崇貴さま…

『かくれさごこけし』/岩隣明来人

「もういいかい」と、高く弾む声が古い日本家屋の中に響き、そして染みるように消えていく。外では大粒の雨が落ちている。海馬少年は大黒柱に顔を俯せたまま言った。しかし相手からの返事はない。彼はこけしとかくれんぼをしているのである。海馬少年には人…

『何物』/よいこぐま

私は側溝に埋まっていた。目を見開いていた。動く気力がなかったが、這いずるようにして側溝から出た。そして実際に地面を這って進んだ。私は乱暴され、絞殺された。捨てられた際に足の骨も折れていて、歩こうとすると思惑とは違う方向に曲がっていく。体を…

『幻界灘』/不狼児

半鐘が鳴った。 二つ、三つ、二つ。最後に一つ、ひときわ高く。 津波だ! ってんで、女房を探すと、姿がない。卓袱台がガタガタ揺れました。しかたねえ。悪いが先へ行くぜと逃げようとすると、足元が冷たい。ひたひたと、津波の先触れがもう押し寄せていたん…

『金魚姫』/不狼児

みだら沼の底深く、金魚姫が棲むと人の云う。 噂はまこと、その通り。 昨晩。沼で釣り糸を垂れていると、女の人魚が浮かびあがった。 くるり と腹を見せて水底に戻った女の腹は、金色に光っていた。 底深い沼の澱んだ水越しにもはっきりと見えたのだから、間…

『人蜉蝣』/不狼児

薄葉の色の唐衣。 とびでた、異様に細長い手足。 俯いた顔。ざんばらの髪。 谷の木陰に朧に立つと見える人の姿は瀬音に揺らぎ、それまでも時折、木の間隠れに姿を消すように見えたが、ようやく同じ台地に立ったかと思うと、忽ち消える。 消えた人影の足元に…

『かっぱ』/ドテ子

昔、おらほの山がらも鉄が採れるっつので鉱山の開発が進んだのす。そすたら飲み水さ何がよぐねえもの混ざったようで、その辺りさ奇形が産まれるようになったど。頭ばおっきくて、まなぐ(眼)ばつり上がってでぎょろっとすて、手ど足の指ば薄こい皮でくっつ…

『祠の中の髪』/塩垂

一か月程前に東京からこの田舎へ転校してきたアツヤ君は、僕と一番の仲良しになり、放課後はいつも僕の家で遊ぶのが習慣になっている。 アツヤ君は僕の家に来る度、家の裏にある祠が気になるらしく、いつも祠のことを聞いてきたり、祠の扉を開けようと誘って…

『新しいビル』/葦原崇貴

高校を卒業して以来なまってしまった身体を動かすべく、浪人生仲間を誘って、当時竣工してまもない東北一高いビル、SS三〇の階段登りをしようということになった。某大手保険会社のオフィスビルだが、三十階は展望台やレストランで一般開放されていた。 し…

『ファッションエルフ』/ジャパコミ

「お前たち、鼻高の悪魔の仲間か!」 なんだよ、いきなり日本語かよ。 詰問の主は谷の向こう。パステルカラーの髪に尖り耳の人影が数体、弓を構え、大きな瞳で木々の間からこちらをうかがっている。規定に従いエルフ語で呼びかけると、きょとんとした表情だ…

『北帰行』/山村幽星

はるばる、気になることがあって、電車を乗り継ぎ帰ってきた。旧家といわれる家は森閑としていた。広い家に姉が一人で暮らしていた。観光客があると、なかを拝観させていた。戸を潜ったなかが土間になって、上がったところに帳場の跡が残り、離れて囲炉裏が…

お詫びと訂正

昨日アップいたしました『業雪』の作者名を「夢野鳥子」さまと誤って表記いたしました。「夢乃鳥子」さまが正しい表記となります。 作者の夢乃さま、および関係者の皆さまに大変ご迷惑をおかけいたしました。お詫びの上、訂正させていただきます。 http://d.…