御於紗馬『近所のドラ猫が食い入るように見つめていた新聞の切れ端より抜粋』

【3月11日に日本海沖で発生した巨大地震についての各界の反応】
 ポナペ島沖に本部を持つ『偉大なる主を讃える会』は緊急に記者会見を行い、同会が今回の地震と無関係とする宣言を発表。彼らの主は死したまま未だ夢を見続けており、星辰が正しい位置に収まるまでは地殻を揺るがす力を持ち得ないと主張した。類縁の各会派も同調の動きを見せている。しかし、この主張は海洋で地震が発生する度繰り返されており、各界からは「ああ言えば許されると思っている。狼少年だ」との批判を浴びてる。
 『地球二在スル宇宙人連盟』は「今まで地球人に対し、大地震に関する技術提供は行っていない」とする発表を行う一方、オフレコであると前置きした上で「幼稚この上ない地球人の科学力では大地震を発生させるには後五万年は必要」と発言。すぐさま「地球人を舐めるな」「横暴な連中には綺麗な地球にいて欲しくない」等の声が挙がり、同会への不信が広がっている。そのため、同会が当初予定していた放射性物質除去装置の技術提供は白紙に。再開の目処は建っていない。
 狂信的科学信奉団体『科学に魂を捧げた者共(ヴェクターズ)』は「今回の地震は純然たる物理的作用であり、オカルト的な要素は一切無い」と断言。他方、偏狂的妖怪保護団体『人類浄化機構』は「天狗の仕業」とする論説を発表。天狗側はこの説を「筋違い」とし謝罪と訂正を求めて提訴する構えであるが、誰を筆頭原告とするかで揉めている。
 日本の三陸沖を中心に活動する『東日本船幽霊共同組合』の「会員が激増した」との発表に対し、『西日本ミサキ共済連合』が「死者を全て船幽霊とするのは乱暴。冒涜である」と発言。これを受けて組合側は力関係が崩れる事への嫉妬であると反発。論戦が続いている。独立団体の『猛霊八惨』は「水掛論とはこの事」との立場を表明。なお、一時期、柄杓に関係する銘柄の株価が高騰した。